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  • 2012.10.02

【分科会テーマ③】福島から考える広域避難者支援のこれから 

分科会テーマ③『福島から考える広域避難者支援のこれから』では、
ふくしま連携復興センター理事・中鉢(ビーンズふくしま事務局長)が
コーディネーターを務め、5人のゲストから避難者支援の現場の報告をいただき、
異なる地域や事情の中での課題の共有から、つながるための仕組みづくりなどの
ヒントをいただきました。
後半は長い復興の道のりに向かうためのエンパワメントを探る
グループワークを行いました。

目的

それぞれの異なる状況にある避難者ニーズに寄り添う支援が求められている。
また、これからの復興フェーズによって、避難者の実態に即した
政策提言・法整備を考える。

概説

新潟県自主避難・母子避難新潟自治連絡協議会の村上岳志さんからは、
新潟県内の避難者の置かれている状況についてお話いただきました。
一般社団法人FLIPという団体が一元的に情報を共有。
交流施設「フリップハウス」を運営。

避難者のための月刊フリーマガジンも1万部程度発行されています。
避難者同士の連絡会議も立ち上げて、暮らしのサポートに取り組んでいます。

避難の動機、世帯構成、今後の予定、ニーズに違いが出てくるようになり、
震災特有の問題と、地域社会そのものの課題(母子家庭の就職の難しさなど)が
混ざり合い、ひとことで避難者としてくくるのはナンセンスな状況。
警戒区域、双葉の各町村が町単位で自治組織をつくる動きもあります。
自主避難者は、世代や環境、子どもたちの年代、趣味などでグループを
つくっていきたいというニーズもあり、地縁的なくくりだけでは難しい状況です。

滋賀県内避難者の会・遠藤正一さんからは、滋賀県や関西方面の避難者の
置かれている状況についてお話いただきました。

滋賀県では400人ほどが避難していますが、京都などと比べて避難者支援における
NPOの取り組みが弱く、避難者同士のつながりも弱かったですが、
集まる機会を重ね、12月に会を発足しました。

滋賀県の嘉田知事は、原発問題に意識が高いため、県からの支援は協力的で、
会の案内は行政を通じて送りました。
出身地域による区別をせず、全体での交流会は年4回、地域でのミニサロン、
専門家による相談会、学習サポート、健康診断、避難所でワンストップサービスの
事務対応などに取り組んでいます。

イベントには関東圏からの避難者が多く参加する傾向にあります。
地元自治体、マスコミとの連携がしっかりできていて、
福島を知っていただくためのドキュメンタリーも作成中です。

福島県内自主避難の権利を求める会・酒井信裕さんからは、福島県内で
避難生活にある方の置かれている状況と、会の運営についてお話いただきました。

福島県内で、区域外自主避難とされる人々(3万人ほどとの試算あり)の
状況について、政府、県は把握していないと言っています。

例えば郡山から会津若松に避難しても、行政上は転出・転入として扱われ、
避難者という確認がなされていません。
多くは避難する理由を言えない・嘘をつかざるを得ないという状況や、
避難先でのコミュニティへの参加が難しい状況です。

会の会員は36世帯・120名ほど。行政への要請をしても支援は得られず、
行政からの情報は少ない。
「県外に行けばいい」と言われることもあり、実際に山形に避難する人もいます。
転出・転入の手続きをしないと支援が受けられにくい。
避難している人のパターンも様々で、ニーズも様々。
会としてまとまった要求をつくりづらい。
仕事をしながら会の運営をしているので、なかなか時間をつくれないし、負担が大きい。

支援の輪が広がっているが、支援を受ける対応も十分にできず、声をあげることが
つらくなっています。
行政への要望活動を続けていく一方で、お母さんたちのメンタルケアが
求められている状況です。

まちづくりNPO新町なみえ・神長倉豊隆さんには、浪江町から避難している人の
置かれている状況と、支援の取り組みについてお話いただきました。

浪江町からは、現在14,000人が県内に、残る人は鳥取と和歌山をのぞいた
都道府県にそれぞれ避難している状況。
昨年は二本松市のお盆祭りに合わせ、浪江としての夏祭りを開催し、
二日間で3万人が参加、浪江町民も3000人ほどが集まりどこに避難しているのか
確認しあいました。

浪江の帰還・復興に向け絆をつなぎとめるために、毎日が戦争のような
状況で活動をしています。
早稲田大学の支援で、行政・住民・NPOが集まりお互いの立場を尊重しながら
夢のある町づくりを語り合うワークショップも開催。
今後も行政の復興計画策定に先駆けて話し合いを続けていく予定です。
北海道から沖縄まで、全国7都市で浪江町の交流会を開催したいと思います。

福島県避難者支援課の青木加奈子さんからは、行政の支援体制の現状と
課題についてご紹介いただきました。

自主避難者の支援について復興庁や国に支援を求めるようにしていますが、
なかなか結果が出せていない現状があること。
復興計画を策定し、現状に即した見直しを行っていますが、
たくさんの方が復興支援に関わるので、いろんな方向を見ていてはなかなか進まない。
前にすすめるために基本方針にそって進むことは大事。

除染についても問題が指摘されていますが、国と市町村とで負担する
地域を分けて進めている状況です。
環境省の「除染情報プラザ」というホームページでわかりやすく
解説しているので参考に。

原発事故の損害賠償については、文部科学省の原子力損害賠償紛争解決センターが
和解の仲介を行っています。
まだ手続きをやっていないという方は、ぜひ手続きしていただきたい。
県の生活環境部にも原子力賠償支援課があります。
県民健康管理調査は、全県民が対象で、基本調査と詳細調査を継続して行います。
甲状腺検査を先行して行っていて、結果の読み方についての説明会を行う予定です。
県外でも順次調査ができるよう働きかけています。
子どもが安心して育てられる環境づくりを支援しています。

高速道路の無料化は来年1月15日まで延長。
ホールボディカウンターの検査体制の充実するようにしています。
避難者への情報発信として、県からのお知らせを送り、ブログでも発信しています。
日本保険物理学会のウェブサイト「専門家が応える暮らしの放射線Q&A」も
参考にしてください。
プログラム後半にて、中越防災安全推進機構の稲垣文彦さんからは、
支援者の立場から今後の支援体制継続に向けて考えるべき点について
お話しいただきました。

中越地震の復興支援をしていますが、中越と福島の事情はまったく違います。
新潟県でも6,300名の方が避難してきていて、まとまっての支援をすることが難しく、
状況の違いにあわせて接していく必要があると感じています。
福島で暮らし続ける中、不安を抱えているそれぞれ事情がある。
家族の中でも違いがある。

戻りたい/戻れないと、揺れ動いている方もいる。
これまでの支援体制の継続とあわせて、個人の復興を支える支援が求められます。
主体性を醸成し、個人の選択を支える支援が考えられます。
エンパワメント、本来持っている力を生かしていただくため、どうやって支援するか。
これはあまり語られなかったこと。住んでいた土地でそこに住んでいた人たちで
進めてきた復興とは違う。
ゆるやかに避難者がつながり、避難者が主体的に将来を選択できる環境。
それぞれの選択を尊重する環境。
避難者道したお互いに認め合うことができる環境。
福島のみなさんから、何を失ったのか、声をあげていただきたい。
家、仕事、不動産、いろいろなことを失った。
それだけでしょうか。
富岡の方と一緒に議論しているところです。
長岡市のタウンミーティングでは「富岡の冬の青い空を失った」と言われた方がいました。
こういうことは福島の方、避難者それぞれあるでしょう。
それぞれを理解した上で支えることが必要なのだと思います。
グループワーク報告/まとめ:
グループワークでは、7つのグループに分かれて意見を出し合いました。
必要となる支援について、選択したことや迷っていることに対する理解について、
自分たちが決めなければという反面、国や自治体のリーダーシップも
必要であるという意見、制度をどう使いこなし、事業をどう起こしていくか、
事情の違う個人への支援のあり方など、様々な意見が交わされました。

以上