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  • 2018.03.11

【3.11談話】東日本大震災から7年 長期化する福島の復興を進めるために行うべきこと  ~ ふくしま連携復興センター談話 ~

2018年3月11日で、東日本大震災(以下、震災)の発生から7年が経過した。
震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下、原発事故)の発生以降、福島県においては様々な被災地・被災者支援の活動が行われてきた。しかし、まだ先の見えない状況が続いており、復興プロセスの長期化は避けられない。また復興プロセスの長期化により、福島県は「課題先進地域」と呼ばれるほど現在の日本が抱えつつある課題を先取りし、加速度的に顕在化している。

福島県が抱える課題の主な具体的事例としては、以下のようなものが挙げられる。
■避難の分散によりコミュニティが崩壊し避難先が転々と移り変わっていったことで、その再構築が困難になり避難者の孤立が目立つようになった。福島県における震災関連死の割合(2017年3月時点で約60%)は、岩手県や宮城県(どちらも、約10%)と比較しても極めて高く、この原因としてはコミュニティの崩壊による孤立が避難者のストレスの高まりや生きがいの喪失に結びついていることが予想される。
■避難指示解除地域においては、放射線への不安や避難先での仕事および学校生活が定着したことから若年層の帰還が進まず、高齢化の加速が見られる。こうした地域では医療、福祉へのニーズが高い一方、地域人口が増えない中再開する医療・福祉機関も少なく、このミスマッチが顕著になっている。
また帰還率の低迷により過疎化が進行し、この点もコミュニティの再構築を阻む要因となっている。
■支援策や震災・原発事故発生時の環境の違いにより、被災者が受け取る補償金や東京電力からの賠償金の格差が見られる。また外部支援者をはじめとした支援活動にも格差が見られ、地域社会における様々な分断や差別が拡大する要因となっている。
■原発事故による避難指示は、一部の区域を除き昨年4月までに帰還困難区域以外はすべて解除された。こうした状況の変化とともに、今後は様々な復興施策や支援策が縮小されていくことが予想される。また同様に東京電力による賠償も打ち切りとなっていくと思われる。
一方、長期にわたる避難生活において就労する意欲やスキルが低下している避難者も見られ、賠償の打ち切りにより収入が断たれ、貧困に苦しむような状況に陥るのではないかと危惧されている。
■復興プロセスの長期化に伴い、国民の関心が薄らぎ、いわゆる「風化」が進行している。
国が定める「集中復興期間」から「復興創生期間」に移行した2016年ごろより、外部支援者を中心に「復興活動に一区切りをつける」といった姿勢が徐々に見られるようになり、県外に本拠地のある支援団体の県内拠点の閉鎖や、企業による復興支援の規模の縮小などの事例も多くみられた。
これからも福島の復興においては長期にわたる多種多様な支援施策や担い手の確保が必要となっていくが、活動資金や人材、外部支援者からの知見などを得ることが難しくなりつつある。

なお、これらの問題は複合的に起こっているケースもあり、これまで国内では類を見ない原子力災害であったことと相まって、被災地は前例がなく、多様で複雑な課題を抱えることとなった。

こうした中、2011年7月に発足した当ふくしま連携復興センターは、福島の復興を進めるために以下のような考え方で活動していく予定である。

前例がなく、多様で複雑な課題に対しては、一つの主体が独自に活動していたのでは対応しきれず、様々なセクターが結集しそれぞれの知見を持ち寄らないと解決が困難なケースが数多くみられる。

こうした活動を実現するためには、協働のプラットフォームの構築が必要となる。つまり、様々な主体が有機的に結合し、日常的に情報共有を図るなどの機能を果たしていく仕組みづくりが求められる。
ふくしま連携復興センターは、
・支援者間の交流や意見交換の機会の創出
・支援者間の連携促進によるきめ細かい課題把握や解決策の実施
・支援者の活動や組織基盤強化へのサポートによる支援体制の充実や新規創出
・行政や社会福祉協議会等の公的な機関との連携による支援制度の有効活用促進
・被災者を取り巻く環境の変化に対応した支援制度の行政等への提言実施
・課題の多様化、複雑化に対応するための復興の担い手の確保
を実施していくことにより、 「前例がなく、多様化・複雑化する課題」の解決に寄与していく。
また、こうした「前例のない課題」への解決策を、いわば「福島モデル」として確立する。「福島は課題先進地域」といわれているが、この「福島モデル」の確立により、将来日本社会が抱える課題や発生が懸念されている大規模災害に対応できる知見を蓄積する。

また、風化が進む中で獲得しにくくなった活動資金や知見などの社会資源の確保については、以下の考え方で活動を行っていく。
震災から7年が経過し、被災地はいまだに先の見えない状況である一方、県外では震災の風化が進行している。特に5年が経過し国が定める「復興・創生期間」に入った頃から、支援者によっては「復興支援に一区切り付ける」といった姿勢が目立ってきた。
しかし、長期化が想定される福島の復興プロセスにおいては、まだ支援が必要な状況を訴え続けていく必要がある。またそれに加えて、震災から立ち直り、地域を再生するとともにそのプロセスにおいて「新たな価値」を創造していくためにも、適切な社会資源の獲得が必要になっている。そして、社会資源の確保についてこれまでとは異なった方法が必要になっている。
ふくしま連携復興センターは、今の福島がどのような状況で、どのような社会資源が必要なのかを世に訴えるために情報収集発信力の強化を図っていく。また、それとともに新たな仕組みとして市民自らが市民活動を支える「ふくしま百年基金」を創設し、活動資金の確保や市民の知見の集約を継続的に行っていく。
社会資源を獲得するもう一つの目的は、復興の先に目指すべき社会の実現である。そして「目指すべき社会」がどのようなものかを、そこで暮らす市民が考え、実現を目指すのが望ましい。ふくしま連携復興センターはこのような活動を支えるための資金の供給についても市民が担うことによって地域内での循環を生み出す仕組みを「ふくしま百年基金」により確立する。

最後に、ふくしま連携復興センターが目指す社会について述べる。
ふくしま連携復興センターは、2017年度中期方針における「ビジョン」「ミッション」の見直しを通じ、以下のように設定した。

【ビジョン】
「ふくしま連携復興センターは、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故が投げかけた課題を教訓として、その課題解決に取り組む多様な主体が「新たな価値」を創造し続けていく、尊厳ある社会・ふくしまを目指します。
※私たちの考える「新たな価値」とは、ふくしまの復興や地域づくり、課題先進地となってしまったふくしまの社会課題 解決を目的とした活動が、それだけに留まらず、全国・全世界の復興や社会課題解決のモデルとなり得る ものに昇華することである、と定義しています。

【ミッション】
ふくしま連携復興センターは、ふくしまの抱える課題の解決に取り組む民間非営利組織等が、連携・協働を通じて地域の中で主体的な役割を発揮できるよう、その活動を支え続けます。

長期化する福島の復興プロセスにおいては、複雑な課題を抱える被災地や被災者に寄り添った支援活動が求められる。しかし、それは容易に実現できることではなく、そのための連携体制の構築などの仕組みが必要である。つまり、市民、行政、企業といった多様かつ広範な主体が同等の立場で有機的に結びつく、いわゆる「イコールパートナーシップ」を推し進めることがこれから求められる復興支援活動や、市民が社会を支える「市民社会ふくしま」の創出に欠かすことが出来ない。
それぞれが市民の視点でよりよい社会を築いていくために、ふくしま連携復興センターは、これまでの活動で培ったネットワークをさらに強化し、イコールパートナーシップ形成の旗手として、市民が自らの地域発展の担い手になるために寄与していく。そして市民が地域の担い手になることで、尊厳ある生活再建が果たされ、真の「ふくしまの復興」が実現すると確信している。

2018年3月11日
一般社団法人ふくしま連携復興センター
代表理事 天野和彦