• 実施報告
  • 2020.12.21

第3回「ふくしま広域心のケアねっと」開催しました(12/3)

12月3日(木曜日)午後1時30分から、いわき市中央台公民館において
第3回「ふくしま広域心のケアねっと」を開催いたしました。

 昨今、社会全体における心のケアの問題は、新型コロナウイルスの影響による経済困窮や社会生活の様式変更による孤立化や心の病,自殺率の上昇等に関連して取り上げられることが増えています。ここ福島県においても、震災から10年の節目を迎えて被災地域への帰還の加速が予想されるなかで、未だ終わりの見えない原子力災害によるストレスや癒えない思いに起因するPTSD、アルコール依存等を抱えた方々への対応が喫急の課題となっている現状に追い打ちをかける形で、2重、3重のストレス起因が重なり、予断の許さない状況が続いております。
 今回の会議は、この喫急の課題に対応する「地域コミュニティ×こころのケア」のネットワークを構築するため、直接顔の見える関係と連携、地域課題としての認識を高めるため、一体感の醸成が不可欠であるとされ、“心のケアは専門家だけではなく市民活動の団体も何らかの形で実は関わっていると思われる。関連する団体を繋いでいけば、セーフティネットによって救われる方が多くいるのではないかと考え、広域に渡る包括的な心のケアのセーフティネットを構築する”ことを趣旨としています。

これまで開催致しました第1回、第2回を簡単にご紹介致します。
 第1回は昨年11月27日、「ふくしま発 みんなでつくる新しいこころのケア」と銘打ち、郡山市のミュージカルがくと館で開催されました。“広域のセーフティネットを構築するということ、心のケアを福島で地元化する、定着する”ことをキーワードに、団体間の共通項を確認し次の発展に繋げられることを趣旨としました。話題提供として薬剤師の尾形知美氏に「それぞれの、心のケア」というテーマで基調講演をお願いしました。平成30年7月豪雨被害を受けた岡山県真備町での支援活動を通して、復興マップをアレンジした医療マップ作成、「防災談話室」提案、仮設団地の集会所にミシンを設置する支援、仮設集会所の設置等ご紹介頂きました。一見物資提供の支援ではありますが、被災した住民さんが喜んでくれたり元気になっていった様子を紹介頂きました。それぞれ直接心のケアやカウンセリングをしているわけではないが、結果的に住民にとって心のケアになっていたと思われるエピソードをいただきました。
 第2部では拡大パネルディスカッションを実施、主たる活動地域(いわき、相双、中通り、県全域)ごとに4団体ずつ計16団体が登壇。各団体の活動内容紹介と、心のケアに繋がったと思われる活動内容や事例を紹介していただきました。

 第2回は本年2月21日、「福島広域こころのケアネットワークセミナー」の名称で、同じミュージカルがくと館で開催。NPO法人みんぷく様から事例提供として、活動の中で見えてきた「元気のない人、気になる人、困っている人」という対象となり得る具体的なケース情報を共有いただき、どのようなニーズが地域に存在するのかなど改めて課題を浮き彫りにすることを目的に実施しました。
 第1回、第2回についてそれぞれ呼称が違ったことから、統一して使用する名称を決めようという話となり検討した結果、今回第3回と銘打った「ふくしま広域心のケアねっと」と決定しました。

 3回目の開催となる今回の会議では、具体的に専門家と繋がるコミュニティベースによる非専門家の心のケアのネットワークを浜通り南部エリアに拡大することを目的として、いわき、広野、楢葉、富岡、大熊、双葉の1市5町の心のケアに関わる団体に声掛けを行い、18団体+個人参加の計26名の方が集まりました。今回の会議は、本来4月に開催する予定でおりましたが、ご存知のように新型コロナウイルスの爆発的流行を受け緊急事態宣言の影響もあり、地域訪問の自粛やどのように継続すべきかなど対応に苦慮しておりましたが、福島の心のケアのネットワーク作りが想定以上に喫急の対応を要するというお言葉を参加された団体様より頂き、流行の収束を待たずに開催する運びとなりました。
(なお、当日は、マスクの着用、参加者の検温、手指消毒、マイク等の適宜消毒、他に参加人数の三倍以上を収容できる会議室を確保し距離をとり、定期的に換気を行う等万全対策を講じた上で開催いたしました。)
 当日は午後1時30分、F-actorの会代表の大川貴子氏から開会の挨拶をいただいてスタートしました。参加各団体は、事前に準備された参加団体の活動概略を配布してその内容に基づき自己紹介を行いました。その後、福島県精神保健福祉協会ふくしま心のケアセンターの古山綾子氏から、原発避難者特例法の対象13市町村が抱える心のケアの地域課題について話題提供をいただきました。
 座談会については、いわき地区といわき地区以外に出席者が分かれて、フリートーク形式で実施しました。
この座談会で具体的事例として話し合われたケースが、数日後複数の参加団体の連携で援助に繋がりました。個別具体的な案件につき詳細をお伝えできないことは誠に残念ではありますが、開催からわずか数日で一つの援助に繋がる現実に、顔の見える関係でのネットワーク構築が如何に重要であるか痛感させられた次第です。
 今後当会は、緩くとも会員相互が双方向でやり取りできる長く有効に続くネットワークを目指し、県域において心のケアのネット網を広げていくことを目標の活動をしていきます。
 興味のある方、自分たちも支援の輪に加わってみたいという方は、
ふくしま連携復興センター支援者連携チーム(info@f-renpuku.org)までご連絡ください。